公開講座「いやされない傷」を開催しました

先日2/27(金)に、公開講座「いやされない傷~児童虐待と傷ついていく脳~」を開催しました!

参加者募集時には100件を超えるお問合せをいただき、多くの皆さんに関心を持っていただくなかでの開催となりました。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
講座中にたくさんの質問をいただいたり、アンケートにも熱心なご回答をいただいて、共に学ぶ機会が持てたこと、とてもうれしく思います☆

さて、都合でご参加できなかった方もおられると思いますので
講座の内容を少しお届けしたいと思います。
長文ですが、お付き合いください(^_^;)

講師の友田明美先生(福井大学)は、虐待が脳へ及ぼすダメージを
画像解析等の手法を用いてご研究なさっています。

幼いころに虐待を受けると、成人してから大うつ病、PTSD、境界性人格障害などの精神的トラブルに罹患する人口寄与リスクは、
虐待を受けていない場合よりも50%~78%と、高い値を示すのだそうです。
また、そうした症状を発症していなくても、脳がダメージ(サイズの変化や異常な活性など)を受けている人も多いこともわかっています。
そうした脳の異常は、子どもが受けるストレスにより出る大量のストレスホルモン(コルチゾール)が引き起こしているのだそうです。

言葉の暴力(暴言)、性暴力、体罰(虐待)、面前DVなど、暴力の種類によって、脳が大きく委縮する部位が変わってきます。
たとえば、
暴言→聴覚をつかさどる部分
性暴力→視覚をつかさどる部分
体罰→感情・思考・意欲をつかさどる部分
面前DV→視覚をつかさどる部分 、知能・言語能力にも影響 
これは、脳が過酷な状況に一生懸命適応しようとしている状態だそうです。

さらに、友田先生の研究によると、
身体的な虐待を受けるよりも、
両親の暴力を目撃したりふすまの向こうで行われる暴力(暴言)の見聞きの方が
脳へのダメージが大きく
また、その影響を一番受けやすいのは11歳~13歳なのだそうです。

このように脳はダメージを受けますが、
脳には可塑性があります!!
少しでも早い時点で支援を受けることができれば、子どもの脳は急速に回復するそうです!
おとなになってからでも、回復は可能だそうです!

適切な支援につながって、回復する人が増え、
社会が子育てに困っている親や(ストレスが高じると過度の体罰をしてしまう)や、
DV被害者とその子ども達に向けた支援を充実させていくことで
虐待の世代間連鎖も減らしていくことができます。

科学とデータに基づいたお話しで、
私たち大人の対応や、社会が変わることで
子どもたちの「いやされない傷」は「いやされうる傷」に変わる、
と希望が持てました。
20150227